藤井敬吾ギターリサイタル「ロマンティックなギター作品」

標記のリサイタル視聴記です。

  1. 演奏者:藤井敬吾
  2. 日時:2015年6月21日(日)15:30-17:30
  3. 場所:NAM HALL(京都市左京区岡崎)
  4. 料金:¥3,000

<プログラム>

(1) チェロ組曲第1番BWV1007(J.S.バッハ)  (2) 春R.V.269(A.ヴィヴァルディ)

(3) 松のロマンス&歌(F.M.トローバ)

(4) 「むすんでひらいて」の主題による変奏曲(藤井敬吾)

(5) エストレリータ&わが心よ君ゆえに(M.M.ポンセ)

(6) ロマンス(M.リョベート)

(7) 無言詩(J.ボッシュ)

(8) エル・ネグリート/アナ・クリスティーナ/ネリー(A.ラウロ)

(9) カローラの歌&ショーロ(R.リエラ)

(アンコール)羽衣伝説(藤井敬吾)、アストロナウタ(B.パウエル)

 

<感想>

(1)Fuj先生のソローコンサートを聴くのは2013年2月以来、ずいぶん久しぶり。せっかくの機会でいそいそと出かけたものの、四条河原町でバスが30分ほど来なかったので、開演に15分ほど遅刻。1曲目を聞き逃し、2曲目の途中から視聴開始。会場は詰め込んでも50名ほどのこじんまりした地下のホール。今日の聴衆は23名ほど。ソレイユからは、Skaさん・Tmtさん・Itaさん・Tkuさんが来られていた。

(2) 2曲目は、有名なヴィヴァルディ「四季」からのギター独奏編曲版(全3楽章)。皆さんご存知の通り、ギターで弾くには無理とも思わせるような速いテンポの曲ながら、超速で弾きこなす腕前はさすが。特にラスゲアードを多用した編曲は、原曲のイメージがよく表わされていたと感じた。「バロック時代には、バッハなど、独奏楽器への編曲により、他作曲家の技法を学ぶこともあった」とのこと。3曲目「松のロマンス」は小生が7/5合同発表会で演奏を予定している1曲。聴かせどころで間を持たせる、など勉強になる演奏技法が多々あった。「トローバはサルスエラの作曲家でもあり、今で言うと、号泣議員を題材に曲を書いてすぐに上演するような流行作曲家であった」とのこと。4曲目は自作。「世界で最も知られている曲を元に変奏曲を書いた」とのことで、数分の短い曲ながら、スケールやアルペジオなどの技巧の極致を聴かせていただけた。

休憩は、1階の別室で、無料の飲み物とキャンディをいただきながら、ソレイユから来られていた方々と歓談。

(3) 休憩後は、ポンセの2曲からスタート。「ポンセはメキシコの田舎の音楽教師だったが、ある時、パリに行った時、周囲の人から、あなたがあの有名なポンセさんですか、と言われて驚いた。それは、セゴビアがポンセ作品を世界中で演奏していたため。後日、ポンセがセゴビアに私は有名だったのね、と手紙で感謝した。後日、セゴビアが戦火を逃れてウルグアイに滞在していた時、スペインのフォリアという曲を作曲し、週に1曲ずつ、セゴビアに送った」とのこと。エストレリータは、小生が知っている版とは少し異なるようで、低音での旋律から開始されたが、歌心満載の好演奏。「わが心よーー」は3曲のメキシコ民謡の1曲。小生がギターを始めた頃にセゴビアの演奏(LP)で何度も聴いた好きな曲の一つ。次の「ロマンス」を作曲したリョベートは、タレガの一番   の弟子。「セゴビアが、タレガに教えを乞うべくバルセロナに出かけたところ、既にタレガは亡くなっており、リョベートに教わろうとしたものの、奥さんに断られたが、別の日にランブラス通りで出会って奥さんに内緒で教わる約束を取り付けることができた。ドビュッシーも、リョベートにギターについて教えを乞いたいので家に来てほしいと頼んだが、リョベートは、恐れ多いと断ったため、ドビュッシーはついにギター曲を作曲することがなかった」とのこと。「無言詩」を作曲したボッシュは、スペイン・カタルーニャ出身、グノーと親交が深く、1800年代後半にパリで最も活躍したギタリストの1人とのこと。途中のハーモニックスが美しい。アントニオ・ラウロは、1917-1986、ベネズエラ出身。若い時に、サインス・デ・ラ・マーサが南米で開催した講習会で「お前は人前で弾くな」と言われ、それを忠実に守って63歳まで演奏会を開くことがなかった。1981年に初めてロンドンで演奏会を開いて、その卓越した演奏で聴衆を魅了した、とのこと。ロドリゴ・リエラもベネズエラの人。J.L.ゴンザレスと同時期にセゴビアの指導を受けた。Fuj先生がギルバート音楽院で勉強していた時、同時期に、ロドリゴの息子、ルベン・リエラも学んでいた、とのこと。

(4) アンコールは、大曲「羽衣伝説」「アストロナウタ(宇宙飛行士)」の2曲。いずれも、小生は何度か聴いたことのある演奏ではあるが、聴くたびにギターの多様性に改めて気づかせていただける素敵な演奏である。

という訳で、梅雨晴れの元、ギター名曲の魅力を堪能できたひと時でした。

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